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【音源管理の精髄】手を抜いたライブラリの成れの果て 【ネットワークオーディオTips】

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 ディスクだろうと、ファイルだろうと、整理整頓しなければ滅茶苦茶になる。

 というわけで、最短距離で悪い例を作ってみた。
 もっと滅茶苦茶になる可能性だって大いにある。私も痛い目に遭った。
 なぜ自分ルールが重要なのか、百聞は一見に如かず。


 ジャンル。
 どこかで見た光景。
20150911破綻03

 アーティスト。
 どこかで見た光景。
20150911破綻04

 別にジャンルもアーティストもいらない!
 アルバムだけわかればいい!
 ……でもこの有様。
20150911破綻05
 アルバムアートが付加されていないので、目で選ぶこともできない。

 この状況がさらに進めばこうなる。
20150911破綻
 本当はこうなってほしいのに。
20150911破綻02

 この際曲名さえわかればいい!
 ……残念ながらこの有様。
20150911破綻06
 フォルダベースで選曲したとしても、無い情報を表示することはない。
20150911破綻07


 管理が行き届かず著しく分断されたライブラリを前にして、「聴きたい曲をすぐに探し出す」なんて芸当は不可能に近い。
 これでは快適な音楽再生など夢のまた夢であり、素直にCDを使って音楽を聴いたほうがよほどいいという状況になりかねない。

 音源管理は手間がかかる。確かに手間だ。
 しかし、手を抜いたライブラリはいずれ破綻する。
 ひとりひとりが心がけるしかない。
 近道はない。

 ただし、その先に得られるメリットは決して小さくない。
 頑張るだけの価値はある。
20150911破綻01


【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】


【ネットワークオーディオTips】全体の流れ――音源の管理運用からシステムの構築まで

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 全体像の把握は大切だ。
 でないと、何から手を付けていいのかわからなくなる。

 『サーバー』・『プレーヤー』・『コントロール』の三要素を用いて、ネットワークオーディオの全体像には既に触れた。
 この記事ではすべての根幹たる音源まで包括して、音源の管理運用からシステムの構築に到る全体の流れを示す。ある意味、今まで書いてきた内容の集大成と言える。

 続く【音源管理の精髄】&【ネットワークオーディオTips】の道標、あるいは確認や復習の場としてほしい。


 内容は以下の通り。


・音源の管理とライブラリの構築
 これがないと何も始まらない。

 続けて、プレーヤーとサーバーに何を使うかで、五種類のシステム構築図を用意した。

・単体プレーヤーと単体サーバーを使う場合
・プレーヤーをLANケーブルで直結可能なサーバーを使う場合
・PCをサーバーとして使う場合
・ストレージ内蔵プレーヤーを使う場合
・PCと再生ソフトの組み合わせをプレーヤーとして使う場合


 では、始めよう。画像はクリックで拡大する。

 まずは音源。

ネットワークオーディオ虎の巻06
 完璧なライブラリさえ構築してしまえば、あとはどうにでもなる


 続いてシステムの構築図。

 と、その前に、あらためてネットワークオーディオの三要素。
 この三角形。それぞれの役割。

ネットワークオーディオの三要素


ネットワークオーディオ虎の巻07
 これはPCも含めて機器の数が一番多いシステムでありながら、実は一番基本に忠実で、一番理解しやすいシステムでもある。


ネットワークオーディオ虎の巻08
 特殊なケース。基本的には単体プレーヤーと単体サーバーを使う場合と同じ。
 今後こういうサーバーが増えるかもしれない。


ネットワークオーディオ虎の巻09
 単体サーバーを導入せずともネットワークオーディオは実践可能、の仕組み。


ネットワークオーディオ虎の巻10
 海外で盛り上がりを見せているストレージ内蔵プレーヤー――「ミュージックサーバー」の仕組み。向こうではリッピングドライブを搭載する製品も多いようだ。


ネットワークオーディオ虎の巻11
 PCと再生ソフトの組み合わせでもネットワークオーディオは実践可能、の仕組み。
 コントロールは基本的に再生ソフトと一対一の専用アプリで行う。


 以上五種類のシステムで不動なのは、すべての根幹たる音源、システムの中心となる無線LANルーター、そしてネットワークオーディオの本質たるコントロール。
 ネットワークオーディオと一言で言っても、サーバーとプレーヤーに何を使うかは色々な選択肢があり、実は意外と柔軟なシステム構築が可能である。



 おまけとして、セミナーの場で聞かれることが多い無線LANルーターとの接続に関して、簡単な図を作ってみた。
 上の図とあわせて見るとわかりやすいかもしれない。
 なお、無線LANルーターは必ずしもモデム――インターネットに繋がっている必要はなく、クローズドなネットワーク環境でも問題ない。
ネットワークオーディオ虎の巻12


 序章を通じ、ネットワークオーディオの全体像、音源を含む全体の流れは示した。
 これから各論に入っていく。

 タグ。
 ライブラリの構築。
 アルバムアート。
 サーバー。
 プレーヤー。
 コントロール。
 実践編。

 まず音源。
 そのうえで「快適な音楽再生」を求め、ネットワークオーディオへ。
 【音源管理の精髄】と【ネットワークオーディオTips】。
 少なくとも、「知りたい」と思った時、それに応えられる記事を書いてきたつもりである。



【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】


【ネットワークオーディオTips】BubbleUPnP Serverを使ってプレーヤーをOpenHomeに対応させる

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 まず、OpenHomeとは何か。

ネットワークオーディオと「OpenHome」

 個人的な理解で恐縮だが、OpenHomeとはつまり、ネットワークオーディオプレーヤーをまともな音楽再生機器たらしめる諸々の機能をパッケージ化したソフトウェア・ライブラリ」のこと。でもって、OpenHomeはUPnP/DLNAベースのプレーヤーの多くが悲惨なユーザビリティしか実現できていない状況の中で生まれ、UPnP/DLNAベースのプレーヤーに実装することが念頭に置かれているようだ。

 「OpenHomeに対応したプレーヤーなら、まともなユーザビリティが実現されている」というイメージで概ね間違いはない。

 ただし、OpenHome云々に関係なく、UPnP/DLNAとは離れたところで優れたユーザビリティを実現しているプレーヤーも存在するので、そこんところは注意が必要。


 そして、BubbleUPnP Server。(公式HP

 OpenHomeに関して調べた際に「BubbleUPnP ServerでUPnP/DLNAのプレーヤー(レンダラー)をOpenHome化する」という話は目にしていたが、幸いにして私が今までメインに使っていたプレーヤーはどちらも(実質的に)OpenHomeに対応していたので、特に必要を覚えずスルーしていた。えらく気合いの入ったHPに眩暈を覚えて退散しただけだったような気もするが。

OpenHome非対応ネットワークプレイヤーをOpenHome化する「Bubble UPnP Server」 – SHO Page

 上の記事を見て、思っていたより簡単そうだったので、うちの環境でも試してみた。


 BubbleUPnP Serverとは何か。
 色んな機能があるが、ここでは純ネットワークオーディオ用途に絞る。
 公式の言葉を借りて、まずはコレ。

BUBBLEUPNP SERVER IS NOT AN UPNP AV MEDIA SERVER.


 次にコレ。

BubbleUPnP Server provides new services, many of them running on top of your existing UPnP/DLNA devices:


 ?????となっても仕方がない。実際に使いながら順々に見ていこう。


 今回試したいのは「BubbleUPnP Serverを使ってプレーヤーをOpenHomeに対応させる」ことだが、そのために前提として「OpenHomeに対応しないプレーヤー」が必要だ。
 foobar2000 UPnP RendererやMediaMonkeyのDLNA機能はさておいて、そんな単体プレーヤー持ってたっけ……と思ったら、あった。

 コレだ。
20150913BubbleUPnP ServerPC02
※KinskyはUPnP/DLNA互換のアプリであり、見ての通り、OpenHomeに対応しないプレーヤーでもKinskyを使うことはできる。単に使い物にならないだけで。よって厳密には、OpenHomeに対応することでKinskyが使えるようになる、というわけではない。

 候補は二つあるが、発売時期的にも立ち位置的にも、SC-LX85を使ってみる。
 一世を風靡した某プレーヤーと同時期の発売であり、あくまでAVアンプのオマケ機能とはいえ、DLNA1.5に準拠ということは、DMS・DMR・DMCの3 Box Systemとして運用できる。
 つまり、「メーカー純正以外の汎用アプリでも互換性がある」ということ。
 検証の対象として不足はない。

 実際にはSC-LX85という特定の機器というより、むしろ今までに数多く発売されたUPnP/DLNAベースの単体プレーヤーの代表、として見てほしい。
(本来なら機種名を出すのがちょっと憚られるような結果になってしまった。察して!

 いざ。

20150913BubbleUPnP ServerPC03

 ……


 …


 心が折れそうだ


 素の状態のSC-LX85の「プレーヤー」としての機能は以下の通り。

操作へのレスポンス:察して!
シーク:×
スキップ:×
ギャップレス再生:×
音源のスペック表示:×
オンデバイス・プレイリスト:×
※アプリを起動させていてもプレイリストの次の曲が再生されない

 ……パーフェクト達成。
 心が折れそうだ。

 オンデバイス・プレイリストに対応しないもんだから、Kinskyを立ち上げ直すとプレイリストも消失する。
20150913BubbleUPnP ServerPC04

※オンデバイス・プレイリストについての詳細はこの記事を参照



 というわけで、BubbleUPnP Serverに何とかしてもらおう。
 本当に何とかしてくれるなら死ぬほどありがたい。

 今回はPC(Windows8.1)とQNAP TS-119にBubbleUPnP Serverを導入する。
 他にどんな環境で使えるかは公式HP参照。


 まずはPC。Javaが別途必要。
 インストールすると、こんな画面がブラウザで開く。BubbleUPnP Serverの設定はブラウザで行うようだ。
 目的から外れるので、インターネットからのアクセスはチェックを外す。
20150913BubbleUPnP ServerPC05

 ステータス。危うそうな部分は消してある。
20150913BubbleUPnP ServerPC06

 ネットワークとセキュリティ。危うそうな部分は消してある。
20150913BubbleUPnP ServerPC07

 メディアサーバー。
 ここで注目すべきは、「BubbleUPnP ServerをインストールしたPCだけでなく、ネットワークに繋がった他のUPnP/DLNAサーバーにまでBubbleUPnP Serverの機能が及ぶ」ということ。この辺は後で検証する。
20150913BubbleUPnP ServerPC08

 メディアレンダラー。おッ。
20150913BubbleUPnP ServerPC09

 各種設定とヘルプ。
20150913BubbleUPnP ServerPC10
20150913BubbleUPnP ServerPC11

 それでは早速、SC-LX85をOpenHomeに対応させる。厳密には「対応させる」というわけではないようだが、その辺は後述。
 無事成功。「Success」でなかった場合どうなるかは不明。
 なお、ギャップレス再生の部分はチェックが入れられなかった。
20150913BubbleUPnP ServerPC12

 あらためてKinsky。
 ん……?
20150913BubbleUPnP ServerPC13

 再生する。
 お……?
20150913BubbleUPnP ServerPC14

 BubbleUPnP見てみると、SC-LX85(OpenHome)が別に現れている。
 それを選ぶと、きちんとプレイリストが共有・同期されている。
20150913BubbleUPnP Serverタブレット02
20150913BubbleUPnP Serverタブレット03

 OpenHomeに対応しないプレーヤーを締め出すKazooでもSC-LX85が選べる。
 プレイリストも同期している。
20150913BubbleUPnP ServerPC15

 !?
20150913BubbleUPnP Serverタブレット01


 PCにBubbleUPnP Serverを導入し、OpenHomeに対応させた状態での、SC-LX85の「プレーヤー」としての機能は以下の通り。
 なお、サーバーにはTwonky Server(8.1.2)を使用した。

操作へのレスポンス:変化なし
シーク:×
スキップ:○
ギャップレス再生:×
音源のスペック表示:○
オンデバイス・プレイリスト:○

 この結果をどう捉えればいいのだろうか。
 確かに、BubbleUPnP Serverが言う通り、オンデバイス・プレイリストには対応した。他にも使える機能は増えた。
 しかし、OpenHomeとは単にオンデバイス・プレイリストのことだけではない。ギャップレス再生は依然としてできず、レスポンスもまったく改善されていない。設定を見る限りではギャップレス再生を可能とするオプションもあるようだが、今回は使用できなかった。
 残念だが、もっと根深い部分に問題を抱えているプレーヤーを生まれ変わらせるだけの力はない、といったところか。

 もちろん、オンデバイス・プレイリストに対応するというだけでも、BubbleUPnP Serverを導入する価値は大いにある。
 むしろ、あるプレーヤーでオンデバイス・プレイリスト対応だけがネックになっているとすれば、BubbleUPnP Serverの導入によってユーザビリティの最後のピースが埋まることになる。


 BubbleUPnP Serverを動かしつつ、BubbleUPnP Serverをインストールした機器以外のサーバーとしてRockDisk for Audio(中身はTwonky Server 7.2.9)を使ってみたところ、問題なくオンデバイス・プレイリストが機能したことも確認した。BubbleUPnP Serverの機能は同一ネットワークに接続されたすべてのUPnP/DLNAサーバーに及ぶ。
 これはPCでもQNAP TS-119でも同様なので、本格的にBubbleUPnP Serverの恩恵を享受しようと思えば、常時稼働のNASに導入するのが良いと思われる。

 再生中の音源のスペック表示がおかしくなることもあるようだが……
20150913BubbleUPnP ServerPC25


 ただ、LUMIN L1ではオンデバイス・プレイリストの内、「プレイリストのアプリ間共有」と「アプリ再起動後もプレイリスト保持」は出来たが、「アプリ終了時の継続再生」は機能しなかった。LUMIN L1は一応UPnPサーバーのようなのだが、さすがに特殊すぎたか。
 ついでに音源情報表示もおかしい。
20150913BubbleUPnP ServerPC26
20150913BubbleUPnP ServerPC27
 ま、LUMIN L1を使うような人がBubbleUPnP Serverの世話になることはおそらくないだろうし、問題にはなるまい。



 続いて、QNAP TS-119にBubbleUPnP Serverをインストールする。

 公式HPからQPKGファイルをダウンロードしてインストール。Javaが別途必要。
20150913BubbleUPnP ServerPC16
20150913BubbleUPnP ServerPC17

 ここから先は同じ。
20150913BubbleUPnP ServerPC18
20150913BubbleUPnP ServerPC19
20150913BubbleUPnP ServerPC20

 なおこの時、PCのBubbleUPnP Serverも動いている。
 PCとQNAP TS-119で同時にBubbleUPnP Serverを動かしたらどうなるのか?
 ……こうなった。
20150913BubbleUPnP ServerPC21

 なるほど。
20150913BubbleUPnP ServerPC22
20150913BubbleUPnP ServerPC23

 PCのBubbleUPnP Serverでも設定すれば、こうなる。
20150913BubbleUPnP ServerPC28

 BubbleUPnP Serverの実体見たり。

20150913BubbleUPnP ServerPC01

 BubbleUPnP ServerはUPnP/DLNAデバイスの“上”で機能し、プレーヤーを元にして、「OpenHomeに対応したプレーヤー」を“作る”
 これが、「BubbleUPnP ServerでUPnP/DLNAのプレーヤー(レンダラー)をOpenHome化する」ことの正体のようだ。

 BubbleUPnP Serverを使ったプレーヤーのOpenHome対応は、内容的にはほぼ「オンデバイス・プレイリスト」に限られ、ユーザビリティを根本的に改善するものではない。
 が、それだけでも大きな価値がある場合は多そうだ。
 無論、BubbleUPnP Serverなんか使わずに済むように、最初からプレーヤーがOpenHomeに対応しているに越したことはない。

 最後に念のため言っておくと、SC-LX85は素晴らしいAVアンプである。
 そこに他意はない。



【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】


アイ・オー・データ RockDisk for Audio 運用編

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 一週間ほど運用してみての諸々。

20150908io02

 一言で言えば、動作は安定している。

 「MagicalFinder」で見つからなかったことは一度もなかった。
 NAS・Twonky Serverともに設定画面に入れないというようなこともなかった。
 何度か再起動・電源オフからの起動も行ったが、何かしらの不安定さや不具合を感じることもなかった。起動も終了もそこそこ早い。

 本製品はキットの類ではない完成品で、用途をオーディオに絞っていることもあり、運用に関してユーザーが気にする内容は非常に少ない。新しくアプリを入れる余地もない。
 ネットワークに繋げば勝手に繋がって、あとは最初から用意されている「disk」フォルダに音源を突っ込めば、あとは基本的に何もしなくていい。Twonky Serverが全部やってくれる。
 これを楽と捉えるか拡張性がないと捉えるかは人それぞれと思うが、少なくとも本製品の美点は「楽」という部分にあるはず。
 ちなみにe-onkyoからの自動ダウンロードについては割と本気で価値がわからないので省略する。


 ユーザーが自発的に何かするとすれば、トンキー病の治療の際にTwonky Serverに潜るくらいか。

 トンキー病発症
20150908io13
 トンキー病治療後
20150908io16


 静音性は非常に優秀。
 私が使っているのは2TBモデルだが、カリカリ音が気になるシーンはなく、駆動音は部屋の暗騒音にほぼ溶け消えるレベルまで抑えられている。少なくともLUMIN L1(HDDモデル)よりも静か。決して音を抑え込めるような筐体ではないので、少々意外ではある。

 設置は基本的に三点支持だが、加重は平均的ではなく、特にケーブルの関係で後方に集中している。が、それを見越してか第四の足もあり、不安定というほどでもない。
20150908io04
 ただ、構造上縦置きにするしかないため、13センチという高さが「オーディオラックの隙間」に入れようと思った時に問題になる可能性もある。横置きにしてインシュレーターを使うということもできない。

 NAS本体、Twonky Serverの設定ともに、操作に対するレスポンスや動作は全体的に遅い。特にTwonky Serverの設定画面では、状況にもよるが画面の切り替えに数秒待たされることもある。「ん? 動かないぞどうなったカチカチカチカチ……」でますますドツボにハマる可能性もある……かもしれない。
 PCと比べるのは流石にアレだが、QNAP TS-119と比べても、音源のスキャンに要する時間も含め、遅い。価格もあり、性能的に仕方のない部分もあるとは思うが。
 最初の全体スキャンさえ終わってしまえば、その後の音源追加→即スキャンでは体感するほど時間はかからないため、実使用上は特に問題ないとも言える。

 ネットワークオーディオのサーバーとしての使用感を決定付けるサーバーソフト自体は定評ある(?)Twonky Server(7.2.9)が滞りなく動いているので、その点で問題はない。逆にRockDisk for Audioが使いにくいという人は、Twonky Serverが使い辛いということであり、その時点で市販されている大多数のNASが(初期状態で)使い辛いということになる。


 とりあえず、フリーズすることもなし、バグることもなし、不安定さを感じることなく、ネットワークオーディオのサーバーとして普通に運用できている。
 はじめて使う分には楽だ。



【レビュー】アイ・オー・データ RockDisk for Audio

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

アイ・オー・データ RockDisk for Audio 音質編

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 みんな大好き音質編。
 今回は魔境マシマシ。
 「サーバーで音は変わる」ということだけでなく、「LANケーブルで音は変わる」という、一般的な感性からすればどうしようもなく常軌を逸した認識のもとで話を進める。
 これもオーディオマニアの悲しい性だ。笑いながら読んでほしい。


 さて、較べるのはこのふたつ。

LUMIN L1(SSD 512GB)
QNAP TS-119(SSD 600GB) + ELSOUNDアナログ電源

 相手にとって不足なし。

 運用編で書いたことにも関わるが、LUMIN L1は置いといてRockDisk for Audioの真の比較対象はTS-119だと思っている。少しばかり価格が高かろうが安かろうが関係ない。RockDisk for Audioが真にオーディオ用NASとしての立ち位置を確立するためには、かつてその立ち位置にあったTS-119を全体的に上回る必要がある、私はそう勝手に思っている。
 もっとも、こと音質面に関しては、TS-119は当時の値段で15万以上注ぎ込んでいるのでさすがにフェアではないが……


20150915RockDisk for Audio01

 まずは付属品セットで。
20150908io01

 LUMIN L1>TS-119>RockDisk for Audioという順当な結果になった。

 RockDisk for Audioは一言で言えば元気な音。
 押し出しが強く、眠い音ではない。
 が、全体的に粗い。
 対するTS-119は雑味の少ない静かな音だ。


 続いてLANケーブルを換える。
 TS-119にも使っている、audioquestのforest。LANケーブルで音が変わることを理屈ではなく体験で痛感させたケーブルで、同メーカーの上位であるvodkaと比べても遜色ない抜群のCPを持っている。
20150915RockDisk for Audio03

 押し出しと元気の良さを維持したまま、一気に雑味が減った。LANケーブルの交換に期待する通りの効果が得られた。
 LANケーブルをforestに換えた時点で、性格は異なるとはいえ、既に全部入りのTS-119の音に匹敵している。
 この結果をもって、やるだけのことをやってみたくなった。

 その結果がこの有様。
20150915RockDisk for Audio02
 ラックからトラバーチンのボード(余り物)の上へ移動。
 ELSOUNDのアナログ電源はRockDisk for Audioにも使用可能だったので流用。
 足元にはクリプトンのインシュレーター(センタースピーカーを外した際の余り物)。
 振動対策と設置安定性の両面からもっと重さが欲しかったが、天板を覆うように何か置くのは放熱の関係で無理そうだったので、上にも三点で重り。
 珍妙なオブジェクト然とした格好になった。

 肝心の音。
 電源を換えたおかげか、一気に重心が下がり、にじみが減った。
 そしてなにより……強い音。
 サーバーとして透明であることを是としたN1Zとも、オーディオ機器的な凄みを提示するLUMIN L1とも異なる、強い音。
 かつてサーバーで聴いたことのない種類の音だ。

 ただ、表現が一本調子というか、何でもかんでも強調感のある音になってしまう。
 力強さを表現することはできても、静けさを表現するまでには至っていないようだ。

 toe / the book about my idle plot on a vague anxiety / i do still wrong
アルバムtoe シカ
 この曲のドラムに絡みつくベースは低音の解像度を聴くにはうってつけ。
 付属品セットで聴いた時よりはだいぶほぐれるが、さすがにLUMIN L1には及ばない。


 結論。

 大健闘

 手をかけてやれば決してTS-119に劣らない。
 設置の面では手を加えるにも制約があるが、ポテンシャルの高さは大いに感じられた。
 おそらくSSDにすれば、落ち着きと静けさが増す一方で力強さが減退する、という結果になるのはなかろうか。
 それらを両立しようと思えば、やっぱり……



【レビュー】アイ・オー・データ RockDisk for Audio

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】


【レビュー】アイ・オー・データ RockDisk for Audio ― はじまりという価値

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 これからネットワークオーディオの門戸を叩こうとしている人が、

 「ネットワークオーディオプレーヤーが欲しい」と思った時、最低でも30万円出さないとまともな単体プレーヤーが手に入らないとしたら。
 「ネットワークオーディオに使えるサーバーが欲しい」と思った時、最低でも15万円出さないとまともな単体サーバーが手に入らないとしたら。

 大多数の人は気が萎えるのではなかろうか。
 未知の領域への挑戦に対し、いきなり数十万円の投資をさも当然のように求めるのはいくらなんでもあんまりだ。仮に身を置く場所がオーディオ業界であったとしても。
 その段階で「おれはPCにサーバーソフト入れて運用するからいいや」なんて言い切れる人がいったいどれだけいることやら。


 さて、RockDisk for Audioを語るためには、まず歴史の追想が必要だ。

 5、6年前を思い出す。
 私はNASとは何か、サーバーとは何かもまるでわからないまま、ネットワークオーディオを始めた。というより、ネットワークオーディオの文脈ではじめてNASというものの存在を知った。
 再生機器とリモコンならばまだしも、サーバーという存在は従来のオーディオシステムしか知らない私にとって完全に異質な存在であり、それがいったい何なのか自分の中で咀嚼し、把握するにはしばらく時間を要した。言い換えれば、それを理解せずともネットワークオーディオを始めることはできたのだ。
 QNAP TS-119があったおかげで。

 サーバーソフトの存在すら知らなかった当時の私は、QNAP TS-119と、その内側で密やかに(今ほど存在をアピールしていなかった)動いていたTwonky Serverのおかげで、無事システムにサーバーを導入することができた。
 無線LANルーターにTS-119を繋いだら、iPadのChorusDS HDから中身が見えて、あっという間にMAJIK DS-Iで音を出せたことを覚えている。
 その時私は、恐ろしいことに、「なんだ、ネットワークオーディオなんて大したことないな」とさえ思ってしまった。それからあまり間を置かずして、私はその「なんてことなさ」と「メリット」を他の誰かに、理路整然と伝えることの凄まじい困難さに打ちのめされることになるのだが、それはまた別の話。

 QNAP TS-119はいわゆるNASキットというやつで、本来はユーザー自身がHDDを組み込んで使うものだ。
 しかし、幸いにして私はショップのおかげで「すべてを組み込んだ状態」のTS-119を手に入れることができ、その辺の煩わしさを味わわずに済んだ。餅は餅屋、プロの技術に感謝するほかない。

 当時は何とも思っていなかったが、今になって思えば、QNAP TS-119は「せっかく単体サーバーを買うならこんな製品」の条件をすべて備えていた。
 ファンレスであること、動作が安定していること、使いやすいサーバーソフトが入っていること。ついでにアルミ筐体でオーディオ的な雰囲気もそこそこ。
 1TBのHDD込みで5万弱という価格も、オーディオとして考えればどうにか納得できないこともなかった。
 実際TS-119の安定性や機能性は大したもので、SSDへの換装や電源の強化を経て、今なお一度も壊れることなく運用できている。さらにAsset UPnPもMinimServerもKazoo ServerもBubbleUPnP Serverも動く。今度はJRiver Media Centerまで動くかもしれない(あくまでQNAP版が出るということで、TS-119は除外される可能性もあるが)。
 ネットワークオーディオの黎明期から、TS-119はずっと私の傍らにあり、何度か登場した細々とした新顔への興味を根こそぎ吹っ飛ばして余りあるほど、盤石の存在感を保ち続けた。

 しかし、そんなTS-119も、製品としては完了してしまった。
 「ネットワークオーディオを始めようと思い、単体サーバーを欲しいと思う」という人に対し、「コレ!」とすすめられるものがなくなってしまった。
 NASの多くはファンが付いている時点で話にならないし、情報がなく中身のサーバーソフトが何なのかわからないような代物を誰かにすすめられるほど私は無責任ではない。

 その後、TS-119の終焉からさほど間を置かずして、同じくQNAPからHS-210という製品が登場した。
 ファンレス。オーディオっぽい筐体。QNAPなので機能的にはお墨付き。お値段は多少上がったがそれほど高騰せず。
 が、ネットワークオーディオという観点からすれば、HS-210は事実上TS-119の姿形が変わったものでしかなかった。下回ることもなければ上回ることもない。
 TS-119が高いと思った人には相変わらずHS-210は高いままだし、NASキットであることの困難さもそのままだ。
 少なくとも私には、HS-210では本当の意味でTS-119の後釜、すなわちネットワークオーディオを始めようと思い、単体サーバーを欲しいと思う人が安心して使えるはじめてのサーバーにはなれないように見えた。

 TS-119やHS-210は高い自由度と多機能を持つがゆえの複雑性があるし、そもそもオーディオ用に作られてはいない。単に「ファンレス」・「動作が安定している」・「見た目がそれっぽい」という理由で我々がもてはやし、オーディオ用に使っているだけだ。
 求められたのはTS-119以上に「簡単であること」と、「最初からオーディオ用に作られていること」だった。


 そして、RockDisk for Audioが現れた。

20150908io02

導入編
運用編
RockDisk for Audioで高解像度のアルバムアートを配信する方法

 まず、RockDisk for Audioは安い。
 多くの人にとってじゅうぶんな容量と思われる1TBモデルで、現状2万円を切る。
 それでいて、ファンレス、安定した動作、使いやすいサーバーソフトの三点を兼ね備えているのだから大したものだ。

 しかも完成品である。
 自由度とは無縁だが、オーディオとは無関係な機能がないぶん、ユーザーは余計なことを気にせずに済む。
 音源の管理とライブラリの構築をしっかりやれば、あとはTwonky Serverに任せるだけでいい。
 トンキー病だってどうにでもなる。
 さらに音だって決して悪くない。

音質編

 見た目、そして筐体の作りに関してはとてもオーディオ的と言えたものではないが、こればっかりは値段相応と割り切るしかあるまい。

 以前、「サーバーが本当の意味でオーディオ機器になる日」という記事を書いた。
 RockDisk for Audioは「良いサーバー」だが、さすがに「オーディオ機器」と呼び得るだけの素質はない。
 しかし、製品名に違うことなく「オーディオ用サーバー」と呼ぶに値する。
 よろこばしきかな、「サーバー」という名のハードルが一段下がる。


 こんなことを言っても仕方がないにしても、「5、6年前にRockDisk for Audioがあったらどんなに良かったか」と思わずにはいられない。
 その一方で、よくよく考えてみれば、ネットワークオーディオを取り巻く環境は5、6年前からさして変わっていないということにも気づく。

 はじまりという価値に翳りはない。



【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】


アイ・オー・データからついに本気のオーディオサーバーが出るようだ

Kinsky Version 4.3.21

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 iOSに付いていくべく2年以上ぶりのアップデート。

20150917kinsky02

 ほんのりとデザインも変わった。画面下部のLINNのアイコンが相変わら解像度足りないのはわざとだろうか。
 画面上、iPadの時間や電池の表示が省かれるようになった。これに伴い、横画面でのアルバムアート拡大時でも、画面いっぱいにアルバムアートが表示されるようになった。
20150917kinsky01


 随分と放置されていたため、Kazooに入れ込むあまりKinskyはもう見捨てられてしまったのか……と思いもしたが、幸いにしてまだまだそうでもないらしい。
 android端末にはBubbleUPnPがあるから別にいいとして、裏技を考慮に入れてもなお、iOS端末で使用可能な汎用アプリとしてKinskyは依然として貴重な存在だ。
 LINNとしてはKazooに集約したいのかもしれないが、なんとかKinskyも末永く使えるようにしてもらいたい。



コントロールアプリの検証 2014 『Kinsky』(iPhone版)

コントロールアプリの検証 2014 『Kinsky』(iPad版)

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】



AURALiC ARIES MINI

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AURALiC


 AURALiCはの「USB出力搭載ネットワークオーディオトランスポート」のARIESをリリースしている。

 OpenHomeに対応。
 TIDALとQobuzにも対応。
 純正コントロールアプリ・Lightning DSの完成度高し。
 PCMは384kHz/32bit、DSDはDSD256まで対応。
 しかもそこそこ安い。1599ドル。


 さらに、もう間もなくARIES MINIが登場する。
 どこかで見たようなデザインの中に、ネットワークオーディオとしての機能はARIESを引き継ぎ、さらに驚くべきはその価格。
 なんと399ドル

 ARIESはさておき、ARIES MINIのCPが持つ破壊力は凄まじい。もうアレとかソレとか買っている場合ではなくなる。
 輸入代理店をやっているエミライはAURALiCのDAC・プリ・パワーを扱っていながら、肝心のARIESを扱わないのはなぜなのだろう。やっぱりサポートが怖いのか。その点Aurenderはストレージ内蔵だしなあ。懸案事項がひとつ減る。
 「USB出力搭載ネットワークオーディオトランスポート」とはDELAの専売特許でも何でもない。正しく紹介できれば業界に相当大きな風を吹かせられそうなものだが、ARIESが待てど暮らせど入ってきてない以上、ARIES MINIも望み薄だろうか。
 残念だ。

MonkeyMote Version1.6でアプリのアイコンが変わった

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 コレから、
アプリMonkeymote

 コレに。
アプリMonkeymote1.6

 MonkeyMote 4 foobar2000も同様のデザインに。
20150919MonkeyMote

 アップデートに伴いアプリのアイコンが微妙に変わることは何度かあったが、ここまで別物になったのは初めて見たような……
 ちなみにアプリの中身そのものは変化なし。
 両方とも相変わらず使いやすいコントロールアプリである。MediaMonkeyやfoobar2000を使ってPCオーディオを実践しているという人はぜひ試してみてもらいたい。



【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

【イベントレポート】ネットワークオーディオ実践セミナー オーディオ・ベースマン

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【ネットワークオーディオで実現する快適な音楽鑑賞空間の構築】全国横断実践セミナー

 9月20日に岩手県のオーディオ・ベースマンでセミナーを行いました。

20150925オーディオベースマン

 毎度会場に入りきらないほどたくさんの方々に参加していただいています。
 他地域と比べても、既に何らかの形でオーディオにPCを使っている人が多かった印象です。
 そしてテーマは変わらず、体験と実践です。

 ファイル音源を扱うオーディオの形態は、従来のディスクを扱うものとは異なります。例えばCDプレーヤーをデモンストレーションする際、今さら「このボタンを押すとディスクトレーが出てきて、CDは記録面を下にして入れて、トレーを閉めて、次にこのボタンを押すと再生が……」などと説明する必要はないでしょう。既に誰もがわかり切ったことだからです。
 しかし、PCオーディオやネットワークオーディオは違います。「どうすれば音が出るのか」「システムの構築には何が必要なのか」という、おそらく多くの人にとって未知の領域を把握する必要があります。
 もっともっと快適に音楽を聴いてもらいたい。そう思うからこそ、このセミナーがあります。一見して音楽と直接関係ないと思われる内容が多くとも、面倒でも、難しくても、避けては通れません。どこかで誰かが、その領域に言及しなければなりません。
 システムを構築できず、音を出せないような状態からまずは抜け出すこと。
 PCオーディオやネットワークオーディオで音楽を楽しむ、まずその「前提」の基礎基本を習得していただくこと。
 そのための意識付けが出来たとすれば幸いです。
 ぜひチャレンジしてみてください。

 セミナーに参加された皆様、オーディオ・ベースマン様、ありがとうございました。

【TIAS2015】国産ネットワークオーディオプレーヤー、おめでとう!

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ヤマハの次世代スピーカー「NS-5000」が披露。ESOTERICはネットワークプレーヤー「N-05」 – AV Watch

ネットワーク機能はOpenHomeプロトコルに対応。


 嗚呼、ついに……



【TIAS】エソテリック、ネットワークプレーヤー「N-05」参考出展。予価55万円で12月発売 – Phile-web

各種操作用の専用アプリ「ESOTERIC Sound Stream」を無償提供。アプリはまずiPad用から提供を始め、iPhone用およびAndroid用も順次公開する予定。


 しかも、なんだかどこかで見たことのある物凄く使いやすそうなコントロールアプリだ!



 エソテリックおめでとう。ありがとう。
 日本のオーディオ業界にとって、大きな大きな一歩になる。

 もちろん、DELAもスフォルツァートもブライトーンもおめでとう。
 国産における先駆はあなた方だ。
 これでますます価値が光る。

 時代は進む。歩みの遅さに泣くことはあっても、確実に進んでいる。
 これでもう「知らない」では済まされなくなる。
 嬉しい。実に嬉しい。



ネットワークオーディオと「OpenHome」

「On-Device Playlist」(オンデバイス・プレイリスト)について

【音源管理の精髄】 目次 【音源管理の精髄】



 ……N-05の評論記事が出る時、OpenHomeやOn-Device Playlistがどんな風に言及されるのか、今から物凄く楽しみだったりする。

【TIAS2015】Cocktail Audio X40

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 おッと思った製品。

【TIAS】トライオード、自社新製品に加えてCocktail Audioなど新規取り扱い予定ブランドの披露も – Phile-web

 この記事で「どうしてもネットワークオーディオプレーヤーにディスプレイが欲しいなら、むしろ素直に映像出力を付けたほうがいいんじゃないか」と書いて、その一例としてCocktail Audioの製品を挙げた。
 ディスプレイ論争云々は置いといて、かなり気合の入った製品なので、この手の製品が日本に入っていることは素直に嬉しい。海外では大いに盛り上がっている機能全部入りの「ミュージックサーバー」というジャンルが日本でどう受容されるのか、気になる。
 ちなみにX40のお値段は2695ドル。
 こないだ国内導入が発表になったaria music serverも含め、正しくメリットを訴求できれば、日本でも結構いい線いくと思うんだがどうだろう。

 ただ、この……「ハイレゾリューションマルチミュージックBOX」って呼び方……何コレ?
 「サーバー」の表記をするとユーザーが色々混同・混乱するという判断だろうか。結果的にますますわけのわからない呼称になっているだけに思えるが。
 素直に「ミュージックサーバー」で海外と統一すればいいのに。


 ちなみに「そもそもミュージックサーバーって何だ?」となる人はこの記事を参照。

Antipodes DX Music Server

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 日本に上陸していないネットワークオーディオ関連機器をなんとなく紹介するシリーズ。

Antipodes DX Music Server
2015100101
画像は公式HPより。

 機能全部入りのミュージックサーバー
 CDドライブ搭載でリッピング可能。
 USB出力搭載でプレーヤーになる。
 外部のサーバーの音源も再生可能。
 ネットワーク経由で純然たるサーバーにもなる。
 通常のファイル共有に対応しているので音源の管理が楽。
 TIDALとQobuzに対応。
 コントロールアプリにはiPeng 8もしくはOrange Squeezeを推奨。
 どっちも素敵なアプリ。
アプリiPeng 8
アプリorange squeeze
 ちなみに中身はVortexBox。
 メーカーとして「最高の音質を実現するには内臓ストレージからの再生で、USB DACへ出力してね」と明言している。
 2TBのSSDを内蔵してお値段7500ドル。
 個人的には無意味なディスプレイを潔く搭載しない辺りにこだわりを感じる。

 ハイエンド……と呼んでいいかはわからないが、間違いなく高級機ではある。
 ネットワークオーディオトランスポートとして考えれば、現状の日本国内における立ち位置が近いのはDELA N1Z、あるいはAurender S10(本国じゃN10に代替わりしている)。
 オーディオ機器としての作りもしっかりしているようだし、国内に導入されれば面白いことになりそう。
 どこかで扱ったりしないかな。

Amare Musica DIAMOND Music Server

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 日本に上陸していないネットワークオーディオ関連機器をなんとなく紹介するシリーズ。
 本機については今までにも何度かリンクを貼ってはいたが。

Amare Musica DIAMOND Music Server
2015100102
画像は公式HPより。

 一目見ただけで猛烈に「いい音しそう!」と思ってしまう類の製品。
 アルミ削り出しの筐体が輝かしい。
 インシュレーターにも相当こだわっているようだ。

 「ミュージックサーバー」を名乗ってはいるが、実態は私が言うところの単体プレーヤーに等しい。一応SSDを積んではいるがあくまでシステム領域のためで、音源として別途サーバーが必要になる。
 向こうの様子を見る限り、ストレージを内蔵することが「ミュージックサーバー」と名乗る・呼ばれるための大きな条件のはずなのだが、その辺は割とテキトーらしい。

 USB出力搭載。
 昨今のデジタル・ファイルプレーヤーに求められるフォーマット対応力は万全。
 さらにOpenHomeに対応。
 どこかで見たようなアプリも使える。
 むしろ実際にデモで使われている
 一応自前のコントロールアプリも製作中のようだ。

 お値段は6600ユーロ。
 見た目といい、内容といい、決して高くないと思うのだがどうだろう。
 もっとも、本機のネットワークオーディオにおける役割はプレーヤーでも、オーディオ機器としてはあくまでトランスポートなので、別途DACが必要になるが。ちなみに同メーカーで組み合わせるDACも開発中らしい。
 どこかで扱ったりしないかな。


AURALiC ARIES MINI その2

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 日本に上陸していないネットワークオーディオ関連機器を何となく紹介するシリーズ。

 こないだ紹介したAURALiC ARIES MINIについて、向こうで面白い記事があったので紹介する。

AURALiC ARIES MINI NEW – Mono & Stereo

 基本的には多機能性と音の良さとCPの高さを書いたお決まりの紹介記事なのだが、開発元であるAURALiCのCEOのコメントが実に興味深い。
 以下に抜粋する。

“The ARIES MINI begins a new and evolutionary era for the future of the audio industry,” said Xuanqian Wang, President and CEO of AURALIC LIMITED. “We intentionally set the retail price at an extremely affordable entry point to offer everyone an opportunity to enjoy the convenience and Studio Quality music that modern technology can bring to all.

“Digital audio is changing very fast. The digital audio component is becoming a software-driven product, rather than a static piece of hardware out of a box. Manufactures can add new features, functionalities, ease of use and improve the sound quality by software updates — and it will be almost transparent and extremely beneficial for customers. In the future, you will no longer be buying a “box” or static piece of hardware.

“That is perhaps the most important transition or “education” that consumers have to appreciate about what is going on in the audio industry today. And I’m referring not only to ‘Audiophiles’, but anyone who loves to listen to music. It’s the latter group that will drive our industry’s growth. We want both segments of the market to benefit from our work
.”


 大体こんな感じのことを言っている。

・多くの人々が最新技術による利便性を享受し、スタジオ品質の音源を楽しめるように、ARIES MINIはめっちゃ安くした。
・オーディオ機器(この場合はあくまで“プレーヤー”)の本質はハードからソフトになりつつある。将来、「ただの箱」や「部品」を買うことはなくなる。
・消費者は今日のオーディオ業界で起きている変化を認め、受け入れることが大事。
・大切なのはオーディオファイルだけでなく、音楽を愛するすべての人々。そして業界を成長させるのは後者。両方の人々に、我々(AURALiC)の製品で楽しんでほしい。

 ななななんて立派な思想なんだ……

 ネットワークオーディオとはオーディオマニアだけでなく、むしろ音楽を愛するすべての人々にとって真に魅力的だと信じている私にとって、これほど心強い言葉はない。

 AURALiC ARIES MINI。
 日本には入れないのかなあ。
 やってほしいなあ。

fidata HFAS1

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fidata

アイ・オー、オーディオNAS新ブランド“fidata”設立。ハイエンド機「HFAS1」発表 – Phile-web


 去年の音展から待つこと一年、ついに正式発表……というか販売開始。

 ネットワークオーディオにおけるサーバーの重要性に加えて、あえて単体サーバーを導入するメリットとデメリットを認識したうえで、こうして「オーディオ機器」として作り上げられたサーバーが登場するのは素直に喜ばしい。

 選択肢が増えるのは良いことだ。
 そして夢のある製品が増えることは素敵なことだ。

【おしらせ】音展2015に参加します

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 しかも今回は出番が増えたようです。


ネットワークオーディオ実践セミナー・音展スペシャル
10/17(土)14:00~15:15
10/18(日)13:00~14:15

 今まさに日本中を巡ってやっているものです。
 なんと18日はネットワークオーディオのスペシャリストである土方久明先生と二人掛かり(?)でやります。どんな化学反応が起きるかわかりません。


fidataが示す理想のネットワークオーディオ・サーバー像
10月17日(土) 11:00~12:00
10月18日(日) 11:00~12:00

 アイ・オー・データから発表されたばかりのfidataをプレゼンテーションします。
 なにせやるのが私なので、色々と一筋縄じゃいかない内容になるはずです。
 

 興味のある方はぜひ。

Roonは音楽鑑賞の未来たり得るか

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 Roon。
 日本じゃまるで話題に上らないが、みんな興味ないのだろうか。
 唯一、今年の独HIGH ENDでPS Audioとの絡みで言及されたくらいか。

 「Roonを使ってしまうと何もかもが古臭く見える」なんて言われるほど、海外で絶賛レビューがいくつも出ているし、ずーっと気になっていたので実際に使ってみた。


 Roonとは何か。

 公式の言葉を借りればこういうことになる。
20151003roonPC00

 魔法ですってよ。

 錚々たる面々ともパートナーシップを結んでいる。
 ただ事ではない。
20151003roonPC54


 あらためて、Roonとは何か。

 とりあえず、Roonは広義には音楽再生ソフトの範疇に含まれる。
 ただし再生ソフトと言っても、純粋にファイル再生機能しか持たないものと、例えばMediaMonkeyやJRiver Media Centerのようにライブラリ統合型のものとに分かれる。
 そしてRoonは、ライブラリ統合型の再生ソフトからさらに一歩進んだ、「総合音楽鑑賞ソフト/サービス」とでも言ったところか。
 再生ではない。
 鑑賞である。
 その意味はいずれわかる。

 Roonは音源の管理運用という点でも、ネットワークオーディオという点でも、非常に重大な意味を持っている。
 MeridianのSooloosのように、似たようなシステムが存在しなかったわけではないが、Roonはソフトであり、特定のメーカー・機器に限定されないという意味で、より広い汎用性を実現していることも確かだ。


 今回はあくまで紹介として、次にあらためて導入・運用記事を上げるが、Roonの意図するものを端的に示す一文を紹介して締めとしたい。

With Context & Meaning

Music isn’t files and streams. It’s the work of passionate people who compose, collaborate, and perform live. Stop looking at lists and start experiencing a multi-dimensional world of music.



【レビュー】Roon

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】


Roon 導入編

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前記事:Roonは音楽鑑賞の未来たり得るか

 Roonはソフトであり、サービスである。
 メジャーアップデートごとに支払いを求める再生ソフトもあるが、Roonは年間・もしくは永年で使用契約を結ぶ。
 ソフトを買うのではなく、使用料を払うのである。

 使用料は年間で119ドル。
 永年契約だと現在50ドル割引中で449ドル。

 2週間の無料試用期間もある。

 現状WindowsとMacに対応。
 仕様要求はこのページを参照。

 リモートコントロールアプリはiPadとandroidタブレット版が用意されている。
 基本的に大画面の端末で使うことが推奨されるようだ。

 
 というわけで、早速ダウンロードしてインストールする。
 ダウンロードはRoon Labsのページから。

20151003roonPC01
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20151003roonPC03
20151003roonPC04

 そしてRoonを起動すると……
20151003roonPC55
 ……だそうだ。
 愛にすべてを。


 初期設定色々。
20151003roonPC05
20151003roonPC06
20151003roonPC07

 この辺が不安だったが、どうやら杞憂だったようだ。
20151003roonPC08

 TIDAL……
20151003roonPC10

 そして使用開始。
20151003roonPC11

 猛烈に長くなるので運用編は分割する。



【レビュー】Roon

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

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