サーバーソフトの紹介 『MinimServer』
・使用したサーバー機器
PC(Windows 8.1 64bit)
QNAP TS-119(バージョン4.1.4)
・使用したプレーヤー
LUMIN A1
・検証時のバージョン
0.8.3(PC)
0.8.3(QNAP TS-119)
※0.8.3以降は自動アップデート機能が実装された
【導入】
・ソフトの入手
PCの場合は公式HPから、使う環境に合わせてソフトを入手。
QNAPの場合、同じページからQPKGをダウンロードして手動インストールするという方法もあるが、QNAPの管理メニューからインストールできるので後述する。
・インストール方法
PCの場合はまず、JAVAの最新版をインストールする。
そのうえでMinimServerの最新版をインストールする。特に気を付けることはない。
これでPCは完了。
QNAPの場合、メニュー画面のAppセンターを開き、
「開発者ツール」から「JRE_ARM」をQTSに追加。
続いて「エンターテインメント」から「MinimServer」をQTSに追加。
QNAPのメニューに現れているあたり、実は超有名なサーバーソフトなのかもしれない?
QNAPの場合はさらにMinimServerの設定のために「MinimWatch」をインストールする必要がある。
使用しているPCに合わせて先ほどのページからMinimWatchをダウンロードしてインストールする。
これでQNAPは完了。
【設定】
PC(Windows)の場合、MinimServerを起動した後、デスクトップの右下から管理画面に入る。
MinimServerのアイコンを右クリックし、「Properties」を選択すると設定画面が開く。
再スキャン云々はここから可能。
設定画面。色々あるが、基本的にあまりいじらずに使うことを前提にする。
まずは「Server」。
「ContentDir」が音源フォルダの指定。
あとはサーバーの名前を変えたり、ナビゲーションツリーの項目をいじったり。
次に「Advanced」。
下手に手を出すと火傷しそうな項目が並ぶ。とりあえずこのままで問題はない。
「System」。今のところ特に気にする必要はない。
「Packages」。MinimServerに新たな機能を付加する場合に使う。
ここの「minimstreamer」はMinimServerに音源のトランスコード機能を付加するもの。別に害はないのでインストールしてしまおう。
インストールが終わったら再起動する。
「Modules」。特に気にする必要はない。
「minimstreamer」をインストールした後の「System」。
設定項目が増えている。主に使うことになるのは「stream.transcode」で、flac:wavという具合に入力する。dff:dopwav・dsf:dopwavと入力すればDSDがDoPで配信される。
例えばJPLAYStreamerを使う場合に有効。
QNAPの場合、とりあえずQNAPのメニュー画面からMinimServerを選択する。
Appセンターの中から開いてもいい。
Confirm。
そしてステータス画面が表示されるが、この画面は基本的に再スキャンに使うだけ。
実際の設定はMinimWatchから行う。
MinimWatchとは要するに「QNAPにインストールされているMinimServerにPCからアクセスするためのソフト」的なもの。
MinimWatchを起動すると、QNAPのMinimServerが通知領域に現れる。
あとはPCと同じ。
【運用】
初期状態では起動時に再スキャンがかかるようになっているが、起動中に音源を追加しても反映されないようなのでその都度再スキャンしよう。
それ以外は特に気にせず使える。
ちなみにLUMIN Appはアプリの側からMinimServerの再スキャンができる。公式で推奨しているだけのことはある。
なお、詳細なカスタマイズの方法は超が付くほど詳しく公式HPで解説されている。
チャレンジしたい人はどうぞ。
・コントロールアプリから見えているの図
・実際に音源が配信されて再生されているの図(トラックナンバーに注目)
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】
【ネットワークオーディオTips】MinimServer 導入・設定・運用編
【ネットワークオーディオTips】結局サーバーソフトは何がいいんだ?
という疑問に対する極めて個人的な回答。
単体プレーヤーでシステムを組む場合の参考にしてほしい。
NASを買う場合は、まず中身のサーバーソフトが何か確認すること。
あるいは、PCで色々試してからNASを買うのでも決して遅くはない。
・新しくサーバーソフトをインストールできない類のNASを既に買ってしまった人
特に不満がなければ今のNASを使い続ける。
完全に愛想が尽きている場合は、次へ。
・まだNASを買っていない人
・NASを買いたくない人
・とりあえずネットワークオーディオの何たるかを体験してみたい人
→foobar2000 UPnP Server
無料。すぐ使える。すぐ試せる。
・NASを導入してネットワークオーディオをやりたい人
・NASを使わずにPCをサーバーにすることを真剣に検討している人
・クラシック音源の管理運用にそれほど情熱を燃やしていない人
→Twonky Server
過不足なくまとまった使いやすいサーバーソフト。トンキー病には要注意。
→MinimServer
無料。色んな環境で使える。ただしとっつきにくい。
・クラシック音源の管理運用に情熱を燃やしている人
・音源に埋め込んだ情報を100%活かしたい人
・Twonky ServerにもMinimServerにも飽き足らなくなった人
→Asset UPnP
自分だけのナビゲーションツリーを徹底的に作り込もう!
・LINN DSを使っていて、LINNの世界観にどっぷり浸かりたい人
→Kazoo Server
Kazooとの組み合わせで真価を発揮する素敵なサーバーソフト。
・サーバーソフトなんてどうでもいいからとにかく「高音質サーバー」が欲しい人
幸いなことにサーバーソフトで音は変わらない。ご自由にどうぞ。
・そもそもサーバーなんて使いたくないという人
→それでもネットワークオーディオは実践できる。
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】
【ネットワークオーディオTips】おすすめのコントロールアプリ
この記事は随時更新の予定。
コントロールアプリはネットワークオーディオの最後の仕上げ。
ここが駄目ならすべては水の泡。
妥協してはいけない。
そして本当におすすめできるアプリを考えると、選択肢は必ずしも多くない。
・UPnP/DLNAベースではない単体プレーヤーで、専用アプリを使っている人
基本的に専用アプリを使い続けるしかない。
この手のプレーヤーの専用アプリは大抵良く出来ているので問題ない。
・UPnP/DLNAベースの単体プレーヤーで、メーカー純正アプリを使っている人
特に不満がなければ使い続ける。
もっと使いやすいアプリがないか気になるなら、次へ。
不満爆発なら、純正アプリを滅却して、次へ。
・iPhoneを使っている人
→Kinsky
汎用的に使えるのが本当にありがたい。
・iPadを使っている人
→Kinsky
汎用的に使えるのが本当にありがたい。SongBook HD……
・android端末を使っている人
→BubbleUPnP
一択。文句なし。
・どうしてもPCからコントロールしたい人
→Kinsky
PC版も用意されている。
・LINN DSを使っている人
→ChorusDS(iPhone)
→ChorusDS HD(iPad)
KinskyよりもKazooよりもよほど良く出来ている。
・LINN DSを使っていて、LINNの世界観にどっぷり浸かりたい人
→Kazoo
Kazoo Serverとの組み合わせで真価を発揮する素敵なアプリ。
・使っているプレーヤーでLUMIN Appが使えてしまった人
動作に問題がなければ、あまり言いふらさずにそのまま使い続ける。
・単体プレーヤーを使わずにネットワークオーディオを実践したい人
→JRiver Media Centerと『JRemote』
→foobar2000と『MonkeyMote 4 foobar2000』
→Audirvana Plusと『A+ Remote』
お金をかけないならfoobar2000。foobarConというandroidアプリもある。
JPLAYStreamerを使うならBubbleUPnPがおすすめ。
・色々と見回した結果、現状最も優れていると思われるアプリ
→LUMIN App
はたして次なる玉座はどうなるか。
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】
aria music serverが日本上陸
ハイレゾサラウンド音楽サーバー「aria」とは? – av watch
海外では「ストレージ一体型ネットワークオーディオプレーヤー/ストリーマー」を指して「ミュージックサーバー」と呼び、製品ジャンルが出来上がっている。
そしてミュージックサーバーの大抵はディスクドライブを持ち、「リッピングから音源管理から再生まで全部可能」というオールインワンを売りにしているようだ。
で、海外の情報では何度か目にしていたaria music serverが日本上陸。
aria music serverのコントロールアプリ、iArea appはどこかで見たことがあるので、操作性について心配する必要はなさそうだ。
ぜひ日本におけるネットワークオーディオプレーヤーのジャンルを盛り上げてほしい。
新世紀エヴァンゲリオン NEON GENESIS EVANGELION Blu-ray-BOX
【BDレビュー】第291回『新世紀エヴァンゲリオン TVシリーズ』
画質:7
音質:8
映像:AVC
音声:リニアPCM 5.1ch 16bit
○画質
オープニングが始まった瞬間、「買った甲斐があった」と確信する。
揺れ、ノイズ、ゴミ、傷、決してないわけではない。というより、普通に残っている。さすがにテレビシリーズ全話に対してジブリ作品のBD化のごとき執念をかけられたわけではないらしい。
ただし、何物にも代えがたいダイレクト感が全編を貫く。DVDとの差は歴然であり、画のディテール、特に文字情報がかつてない迫真さで浮かび上がる。見える。読める。画面の揺れ、暗部撮影時のノイズ、入り込んだ埃まで含めて、本当に「作られたものそのまんま」を覗き込んでいるという感覚を味わえる。アナログ製作ゆえの粒状感も鑑賞の邪魔にはならず、きちんと質感として機能している。
「製作由来」の諸々の問題をあるがままに見通せるので、これはこれで資料的価値があると言うべきか。
純粋な画質的には90年代のテレビシリーズという大枠から逸脱するものではないが、BD化を待った甲斐は大いにあった。
なお、16話の画質は著しく劣化している。
マスターに何かあったな。
仕方あるまい。
○見どころ
執念を込められたありとあらゆるディテール
○音質
オープニングが始まった瞬間、「買った甲斐があった」と確信する。
サウンドはDVD(サラウンド版)を基本としているようだが、非圧縮で収録された効果は大きく、残酷な天使のテーゼの聴こえ方もまるで違う。しかしテレビシリーズゆえの限界か、音のナローレンジさはいかんともしがたい。本当はもっともっと盛り上がってほしいシーンで、劇伴・効果音ともに頭打ち感が激しい。それでもDVDに比べるとだいぶ良く鳴ってはいる。
要所要所ではしっかりサラウンドしているし、基本となるステレオの表現もしっかりしている。特に声の使い方の巧みさは新劇場版に繋がる。さすがに新劇場版ほどの卓抜した定位感と明瞭度まではないが、四方八方から声を浴びせられる経験はテレビシリーズにおいてもじゅうぶん味わえる。
声そのものは超がつくほどよく通り、やかましい一歩手前の存在感を放っている。エヴァの音の主役は、やはり声のようだ。
○聴きどころ
声
瞬間、心、重ねて
○総評
良い意味で期待を裏切ることもないが、おおむね期待通りのBD化。不満はない。少なくともDVDとは別物である。
BOX自体もシンプルにまとまっていて好印象。
それにしても、私も随分と年を取ってしまった……
○再生環境(詳細はコチラ)
・ソース
OPPO BDP-103
・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
・音響(センターレス6.0ch)
Pioneer SC-LX85
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122
Dynaudio Audience52
Blu-ray BOXの中身
【BDレビュー】第292回『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 Air/まごころを、君に』
【BDレビュー】総まとめ
【BDレビュー】第292回『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』
画質:8
音質:8
映像:AVC
音声:リニアPCM 5.1ch 16bit
○画質
さすがに劇場版と言ったところか、映像全体の情報量は間違いなく増大している。そして冒頭に入る各社の映像ロゴの解像度がまったく足りていないあたりに時代を感じる。
画面の揺れ・ゴミは僅かだがそのまま残されている。何もかもレストアしてしまうよりは「そのまま」を収録することを優先したのだろう。幸いにしてそれらが鑑賞の妨げになることはない。
プロダクションIG制作のアニメらしい、光の柔らかさを感じるしっとりとした質感が支配的。そのためにテレビシリーズのダイレクト感はかなり薄まった。解像感だけを考えれば、テレビシリーズよりも劣っている場面も散見される。画の方向性の違いだろう。
圧縮に関わる技術的な問題は見られない。補完発動以降、闇の中に微細な光が大量に乱舞しても、画面は清廉さを完璧に維持できている。
気合いの入ったアニメ作品がBD化される時、往々にして「こんなに描き込んでいたのか!」という驚きと喜びを感じるわけだが、本作もその例に漏れない。従来の映像メディアでは埋もれてしまっていた数々のディテール、文字情報が溢れ出し、多くのの発見がある。高画質化によりさらなる映像鑑賞の楽しさが生まれる理想的な例と言える。
○見どころ
逆さまの木
補完
○音質
残念なことに、音響のナローレンジぶりはテレビシリーズからほとんど変わっていない。サラウンドの活用も同様。弐号機覚醒シーンも展開の割にそれほど音は盛り上がらず、THANATOS-IF I CAN’T BE YOURS-はあまりサラウンドさせる気もないようだ。Komm, susser Todにしろ何にしろ、全体的に力に欠ける。最初からそういう意図で音作りがなされているいるなら仕方のない話だが、少々不満が残る。もちろん、DVDと比べれば明瞭度から低音の力感から大幅に向上していることも確かではある。
声についてはテレビシリーズのように突出した感じはなくなり、音に一体感が出ている。そして、声を音響効果として使う技巧はますます磨きがかかっている。
ちなみに全編通じて最も音に力があるのはネルフ本部襲撃のシーン、それも発令所の上部が銃撃を受けるシーンだったりする。
○聴きどころ
本部襲撃~偽りの、再生
○総評
エヴァの世界観でより近代的な映像音響を聴きたければ新劇場版を見ればいい。
好きな作品をもっと面白くする。
かつての思い出をさらに輝かせる。
これだからオーディオ趣味はやめられない。
良い。すべてはこれで良い。
○再生環境(詳細はコチラ)
・ソース
OPPO BDP-103
・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
・音響(センターレス6.0ch)
Pioneer SC-LX85
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122
Dynaudio Audience52
Blu-ray BOXの中身
【BDレビュー】第291回『新世紀エヴァンゲリオン TVシリーズ』
【BDレビュー】総まとめ
UHD BDまであと少し……?
BDAのチェアマンであるVictor Matsuda氏は、今回のライセンス開始をふまえ、「2015年のホリデーシーズンに向け、複数の会社から製品のアナウンスが期待できる」と述べている。
静かに立ち上がる4K BD「UHD BD」。揃わぬ各社の思惑 – AV Watch
いつでも大手メーカーなら製品を出す準備が整っているのかと思いきや、実はさにあらず。1月のCESで試作機を展示したパナソニックは、レコーダの最上位機種をUHD BD対応とした高級機を用意する見込みだが、ソニーをはじめとする他メーカーは、製品開発の声を聞かない。
ではパナソニックだけしか製品化できないのか? というと、サムスンはUHD BDのために専用LSIを開発しており、すでにサンプル品は動作しているという。おそらく、ドイツ・ベルリンで開催されるIFAには、その試作機が置かれるはずだ。
実際に発売されるタイミングとして、どちらが先になるかは今のところわからないが、すでに動作の実績があるパナソニックの方が、量産出荷は早いのではないかと見ている(ただし、サムスンは少量の初期出荷を行なうなどして発売日を前倒しすることがある)。
これ以外の計画は今のところ聞こえてきていない。“ソニーは?”という問いが聞こえてきそうだが、今のところUHD BDへの規格策定には協力するものの、事業としてはまだ態度を決めかねているという状況のようだ。
えっ
なんとも寂しい状況だが、このような背景を考えると、映像系エンスージャストはパナソニックの高級レコーダに期待するほかないだろう。OPPO Digitalなどの独立系メーカーは、メディアテックのソリューションが安定するまで製品化は難しい。彼らが製品を出せるのは、はやくとも来夏、順当ならば来秋のCEDIAというイベントぐらいではないだろうか。
あっ
ソニーグループの場合で言えば、ディスク製造に関してはUHD BDメディア生産の中心を担うことになるが、映像作品をUHD BDパッケージとして、どこまで本気で流通させるかは態度を決めかねているようだ。
業界最大手のワーナーを含め、一通りUHD BDパッケージがリリースされることは間違いないものの、重要なことは「どこまで本気で流通させようとするか」だ。UHD BD対応プレーヤーの本格普及が来年以降ということも考えれば、その結論が見えてくるのはかなり先になると思う。
……
…
これが『最後の映像パッケージメディア』の門出なのか……
【イベントレポート】ネットワークオーディオ実践セミナー・クリアーサウンドイマイ
【ネットワークオーディオで実現する快適な音楽鑑賞空間の構築】全国横断実践セミナー
8月30日にクリアーサウンドイマイでセミナーを行いました。
会場の部屋から溢れ出す勢いでたくさんの方々に参加していただきました。
今回に限らず、セミナーとは言っても単に「上から説明しておしまい」ではありません。
進行に応じて、参加者自らが考え、自身の意図を反映させる、実践の機会をいくつも設けています。その際は皆さん熱心に取り組んでもらえたのではないかと思います。
また今回は、前回までは口だけで解説していたネットワークオーディオの三要素、「サーバー」「プレーヤー」「コントロール」について、端的にまとめた図を示しつつ話を進めました。
図と言っても以前ブログの記事で作ったのを流用したこの一枚だけですが、
それでも「図があってよかった」との声もありましたので、次回も同じ路線で行こうと思います。
最初から細かい各論、個々の機器ばかりに意識が向いてしまうとシステムの全体像が描けず、結果的にネットワークオーディオは「わけのわからないもの」として意識されてしまいがちです。
しかし、ネットワークオーディオは「サーバー」「プレーヤー」「コントロール」の三要素から成り立っていることを理解してしまえば、どのような機器が現れようが、それぞれの役割が何なのかを考えることで、システムの理解は著しく容易になります。
そして、そもそもの時点で必要になる音源、その集合体たるライブラリの管理構築の方法や重要性についても色々とお話ししました。
「ネットワークオーディオは簡単だ」などと無責任なことを言うことはできませんが、一方で「理不尽に難解」というわけでもありません。
筋道を立ててきちんと理解し、やるべきことを把握し、実践すれば、「快適な音楽再生」は間違いなく手に入ります。
ぜひチャレンジしてみてください。
セミナーに参加された皆様、クリアーサウンドイマイの皆様、ありがとうございました。
【おしらせ・再々々掲】全国でネットワークオーディオの実践セミナーを行います
【ネットワークオーディオで実現する快適な音楽鑑賞空間の構築】全国横断実践セミナー
私が担当するセミナーのテーマは『実践』と『体験』です。
ネットワークオーディオが実現するメリットを明確にし、
「サーバー」・「プレーヤー」・「コントロール」について解説し、
システムの構築に必要な機器と接続方法を確認します。
音源の管理とライブラリの構築における自分ルールを構築し、
CDのリッピングを実際に行うとともに手法と留意点を確認し、
自分ルールに基づいて音源を編集する方法を紹介します。
リッピングあるいはダウンロードした音源ファイルをサーバーに保存・収容し、
サーバーによって音源の振る舞いがどのように異なるのかを確認します。
コントロールアプリを使って選曲から再生までの一通りを行い、
アプリの完成度がどれだけ音楽を聴く際の快適さを左右するのかを確認します。
これらすべてを実践し、そして体験してもらいます。
実際に触れ、自ら動かしてもらいます。
単なる解説だけでは終わらせません。
試聴会で音さえ聴ければ、個々のプレーヤーの音質を判断することは出来るでしょう。
しかし、実践と体験なくしてネットワークオーディオの魅力を伝えることはできません。
ネットワークオーディオの魅力を体感してもらうこと。
実際にシステムを構築できるだけのノウハウを獲得してもらうこと。
そして、参加されたすべての方に、「快適な音楽再生」を実現してもらうこと。
これこそが本セミナーのゴールです。
ネットワークオーディオで、心行くまで音楽を愉しみましょう。
「音質云々を言う前にやることがある」と、今まで何度も何度も、数えきれないほど繰り返し述べてきました。
そして、ノウハウの集積と公開にも可能な限り取り組んできました。
多くの人がネットワークオーディオの真価に触れ、自らのものとして咀嚼し、実際にシステムを構築し、快適な音楽再生を実現してもらうために。
また一歩前進です。
現時点での予定は以下の通りです。
東北でもやります。
6/6(土)・6/7(日) 14:00~16:00(両日)
山口県 Labo(ヨシオカ電化センター)
→イベントレポート
6/27(土)・6/28(日) 14:00~16:00(両日)
山梨県 丹沢電機
→イベントレポート
7/4(土)・7/5(日) 14:00~16:00(両日)
鳥取県 サウンドシティ
→イベントレポート
8/1(土)・8/2(日) 14:00~16:00(両日)
大阪府 アバック大阪梅田店
→イベントレポート
8/8(土) 14:00~16:00
東京都 オーディオユニオン 御茶ノ水 アクセサリー館
→イベントレポート
8/30(日) 14:00~16:00
富山県 クリアーサウンド イマイ
→イベントレポート
9/5(土)・9/6(日) 14:00~(両日)
広島県 サウンドマック
→イベントレポート
9/13(日)
宮城県 はくりょう
→今回の大雨被害の関係で中止となりました
9/20(日)
岩手県 オーディオベースマン
イベント案内
10/10(土)・10/11(日)
青森県 オーディオ&ホームシアター 音や
10/17(土)・10/18(日)
音展2015
11/14(土)
東京都 オーディオユニオン ハイエンド館
iFI nano iDSDといちごアイスとJPLAYStreamerでDSD256を再生する
DSD256用のファームウェア5.0にフレーバーをつけました 「どれにしますか?」 – iFI-Audio.jp News and Blog
いちご味にしました。
これで、現状ではDSDをDoPでしか受けられないJPLAYStreamerでも、DSD256が再生できるようになった……はず。
なお、JPLAY側の設定は特に必要ない。
DSD絡みがまだ不安定なAsset UPnPではなくMinimServerを使ってDoP配信すると、問題なく再生できた。
が、Kinskyの音源情報表示が何やら怪しい。「DoP」ではなく「PCM」という表記になっている。不安すぎる。
一応nano iDSDのステータスも確認する。
サンプルレートを見る限り、問題はなさそうだが……
DSD128とDSD64の音源をJPLAYStreamerで再生した場合はそれぞれこうなる。
こちらはコントロールポイントの側に「DoP」との表記がある。
ちなみにnano iDSDは入力されている音源のフォーマットでLEDの色が変わる。
DSD256の音源をネイティブで再生するとDSD128同様のマゼンタ……赤紫色に発光する。DoPで再生しても同じくマゼンタに発光するので、きちんと再生できているとは思うのだが……
なお、DSD256をネイティブで再生した場合のnano iDSDのステータスはこうなる。
※以前はDSD 2.8MHz、DSD 5.6MHz、DSD 11.2MHz……という書き方をしていたが、単純に倍々すると端数の問題が出るので、今ではDSD64、DSD128、DSD256……という書き方をしている。
とりあえず、iFi nano iDSDといちごアイスとJPLAYStreamerでDSD256を再生できているということにしよう。少なくとも音は鳴っている。
ネイティブでとDoPのどちらが高音質なのかという問題は、iFIも同じことを言っているが、要は試して、気に入った方を選べばいい。幸いにして、ネイティブだろうとDoPだろうと最終的な使い勝手に差は生じない。
※追記※
DSD256が再生できているか、JPLAYminiで確認してみた。
DSDを再生する際JPLAYminiは必ずDoPで出力するので、音が出ていれば、それはつまりDSD256 DoPが再生されている、ということのようだ。
というわけで、DSD256再生に問題なし。
情報を表示する側のKinskyで何かしらバグがあるのだろうか。もう2年以上更新が止まっているし、そもそもLINNにDSDを扱う発想はないし……
……と思ったら、KazooでもBubbleUPnPでも同じだった。
ま、きちんと再生できていることはわかったから別にいいか。
「PCを再生機器として使う」となった時、素直に再生ソフトを使うもよし、あるいはJPLAYStreamerを使うもよし。どちらも快適に使えるし、DSD256だって再生できる。
あとは、JPLAYStreamerにWAV/DoPだけでなくFLACやDSFをそのまま受けられるようになればありがたいところだ。使えるサーバーソフトの選択肢も増え、トランスコード云々を気にする必要もなくなる。
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】
【ネットワークオーディオTips】ネットワークオーディオの三要素――『サーバー』・『プレーヤー』・『コントロール』
今まではDLNAのデバイスクラスに関する記事と一緒くたにしていたが、そこから発展・独立させた。
「はじめに」でも言っているように、ネットワークオーディオは決して簡単ではない。
しかし、決して理解不能な代物でもない。
ネットワークオーディオが兎角「難しそう」というイメージを持たれている理由の一つに、「全体像の欠如」があるように思う。
構築しようとしているシステムの全体像をイメージする前に、NASは何がいいとか、どのプレーヤーが音がいいとか、そういった各論に終始してしまうのはよろしくない。
NAS、単体プレーヤー、スマホにタブレット……機器そのものにばかり意識を向けるのではなく、それぞれが果たす「役割」を理解すれば、ネットワークオーディオ全体に対する理解は大きく深まる。
そして役割を理解することで、それぞれの機器に求めるものも見えてくる。
そこで、ネットワークオーディオの全体像を掴んでもらうべく、
『サーバー』
『プレーヤー』
『コントロール』
という三要素を提示したい。
『サーバー』とは何か。
音源を保存し、プレーヤーに音源を配信するもの。
ブラウズ時にアプリに表示される音源の情報も、基本的にサーバーから送られてくる。
機器そのものというよりは、「概念」あるいは「役割」という認識が相応しい。
配信という言葉が問題になる場合は、もっと単純に「音源の在り処」と考えればいい。
そしてサーバーの置き場所は、ローカルでも、クラウドでも構わない。
『プレーヤー』とは何か。
サーバーから配信された音源/データを処理・再生するもの。
たいていのプレーヤーはコントロール機能を持つが、その有無は問題ではない。
つまり、再生とかスキップとか停止といったコントロールとは別の、音源の再生機能そのものを指す。『再生機器』と言い換えても差し支えない。
業界的には、DACを搭載するものがプレーヤー、DACを搭載せずデジタル出力するものがトランスポートと呼ばれるが、ネットワークオーディオにおけるプレーヤーはDACの有無を問わない。あくまで「データ処理としての再生」を担うものがプレーヤーである。
プレーヤーもまた「概念」あるいは「役割」と言えるが、サーバーやコントロールと比べると、機器そのものとの繋がりが強い。
レンダラーやらストリーマーやらオールインワンメディアサーバーやら、機器によって色々な呼ばれ方をされるが、「音源の再生機能」を持つ以上、これらはみなプレーヤーである。
『コントロール』とは何か。
サーバーが提供する音源情報を参照し、曲を選び、プレイリストを作り、再生する・停止する・スキップする・シークするといった、実際に音楽を再生する際の操作、あるいは音楽再生という行為そのもの。また、それに関係するインターフェースも含む。
コントロールもまた、機器そのものというよりは「概念」あるいは「役割」である。
スマホやタブレットはコントロールアプリを入れることで、『コントロール』の役目を担うことが出来る。すなわち『コントローラー』とは、「スマホ/タブレット」と「コントロールアプリ」の組み合わせのことである。
『サーバー』・『プレーヤー』・『コントロール』の関係を端的な図に示すとこうなる。
これらがネットワークオーディオの三要素と、それぞれの役割である。
例えば「ストレージ内蔵ネットワークオーディオプレーヤー」といった製品は、サーバーとプレーヤーという二つの要素を併せ持つと考えればいい。
なお、実際に各要素を担う機器はネットワーク――LANで接続されている。
基本的にサーバーとプレーヤーはLANケーブルで、コントロール端末は無線で繋ぐ。
無線LANルーターとの接続関係を上の図に入れ込むとこうなる。
ここで要注意なのは、音源等のデータはあくまで無線LANルーターを介してやり取りされる、ということ。
ストレージ一体型のプレーヤーや、DELAのプレーヤー直結LANポートといった例外もあるが、話がややこしくなるので詳しくは触れないでおく。
似た考え方、もとい、私がこの三要素を考え出した際の発想の源として、DLNAにおけるデバイスクラスがある。
DLNAとの対応関係を考えると、
『サーバー』=DLNAにおける『DMS』
『プレーヤー』=DLNAにおける『DMR』
『コントロール』=DLNAにおける『DMC』
となるが、この三要素はDLNA/UPnPに依拠しないシステムにも適用できる。
特定のシステムに限定されない、ネットワークオーディオを説明する際のより普遍的な方法がないか考えて考えて考え続けた結果、私の持論としてこの三要素に辿り着いた。
ネットワークオーディオとは『音楽再生におけるコントロールの方法論』である。
ネットワーク越しに再生機器からコントロールが独立し、それにより実現される快適な音楽再生こそ、ネットワークオーディオの本懐に他ならない。
そしてその時、実際に使われるシステムがDLNA/UPnPに依拠している必要はない。単体プレーヤーでも、PCと再生ソフトの組み合わせでもいい。プレーヤーの出力がアナログかデジタル(USB含む)かも関係ない。
大切なのは快適に音楽が聴けること。
それに尽きる。
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】
アイ・オー・データ RockDisk for Audio 導入編
それなりに安い。
ファンレスで静か。
中身がTwonky Server。
ネットワークオーディオの実践に必ずしもNASは必要ではないとわかっているからこそ、NAS――単体サーバーを導入するメリットもわかる。
QNAP TS-119亡き今、RockDisk for Audioがその後釜になってくれることを期待している。
シンプルなのは良いことだ。
見た目の豪華さはさすがにTS-119に及ばないが、その辺りは致し方なしか。
導入時の様子やら何やらは既にレビュー記事が上がっているので、今さら私が触れる必要はあるまい。
というわけで、とりあえず何も設定をいじらず、データだけ入れて、使ってみる。
速度はうちの環境では30MB/s前後。こんなもんか。
最初の検証は例によってDiXiM DMC。
RockDisk for AudioはQNAPとは異なり、トンキーの名前は出ずにデバイス名がそのままサーバーとして表示されるようだ。
ふむ。
そういう設定か。
あとは見慣れたTwonky Serverのアドバンストナビゲーションのツリー。
せっかくなので、大きく紹介されている、
RockDisk for Audioは、オーディオでの利便性を優先してナビゲーション内の「フォルダ」から楽曲を表示する場合も「ABCD~あいうえお」順ではなく、トラックナンバーを優先して表示します。CDアルバムの楽曲順と同じ順番に表示されるので、ギャップレス収録やコンセプトアルバムのように、曲順にこだわりがある場合にも違和感を感じさせません。
コレを確認してみる。
お。
広告に偽りなし。
ちなみに「通常のTwonky Server」ではこうなる。曲順崩壊。
小さくて見え辛いが、トラック番号38の曲が一番上にきている。
もっとも、これはファイル名の工夫とTwonky Serverの設定次第で対処可能な症状で、素直にナビゲーションツリーで選曲していればそもそも遭遇しない問題なのだが。
こんな風に対処できる。
一応Kinskyでも確認してみる。
RockDisk for Audio
通常のTwonky Server(8.1.1)
対処したTwonky Server
それでは、みなさま、お待ちかねの……
……
…
で、でたー!
トンキー病だーッ!!
さ、直そう。
続き:RockDisk for Audioで高解像度のアルバムアートを配信する方法
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】
アイ・オー・データ RockDisk for Audioで高解像度のアルバムアートを配信する方法
前回、ものの見事にトンキー病を発症したRockDisk for Audio。
公式では出来ると言っているが、これはあくまで
※2 表示側の対応が必要。またTwonky Serverの設定が必要になる場合があります。
ということ。
ついでに言えば、その「場合」というのは決して少なくない。
では、RockDisk for Audioをネットワークオーディオのサーバーたらしめているもの、Twonky Serverに潜ろう。
ブラウザから見たRockDisk for Audioのメニュー。
色々あるが、気にするのは「メディアサーバー設定」のみ。
押すと開く。
公開フォルダは別にどうでもいいとして、
データベース初期化。
おそらくTwonky Serverのアレを指しているのだと思われるが使わない。
メディアサーバー表示設定。
間違いなくTwonky Serverのアレ。
Twonky設定/e-onkyoミュージックダウンローダー設定。
恐ろしげな文言が書かれている一方で、メニューから直接Twonky Serverの設定に飛ぶことはできない。
「e-onkyoミュージックダウンローダー設定へ」を押す。
そしてe-onkyo絡みの設定画面へ。
あぁ、あったあった。
二重三重に隠されて、なるべくユーザーの目に触れないような場所に、ひっそりとTwonky Serverへの入り口がある。
ここから先はサポート対象外。
自己責任の領域となるので要注意。
見飽きるほど目にしたTwonky Serverの設定画面。
RockDisk for AudioのTwonky Serverのバージョンは7.2.9のようだ。
例によって、この設定ページはブックマークに入れてしまおう。
いくらサポート対象外とはいえ、ネットワークオーディオのサーバーとして使い込むにはTwonky Server側の設定が必要となる。
初期状態の設定を見ていく。
基本想像していた通り。
で、あとは自分で気になるところは修正して、トンキー病に対処すればいい。
詳細はこの記事を参照。
これだけ。
Kinsky(iPad)でも、
BubbleUPnPでも、問題なく高解像度でアルバムアートが表示されるようになる。
iPad側への設定の反映には過去最高に時間を要したが。
ついでにサーバー名も変更した。
RockDisk for Audioを買ってきて、繋げて、いつものアプリから音源を覗いた時、トンキー病が発症していたとしよう。
その場合、今のアプリを使い続ける限り、ずーっとトンキー病の症状は出続ける。
解決するためには、Twonky Serverの設定画面に潜らなければならない。
サポート対象外だが。
しかし、直る。直せる。
アルバムアートという形で音源に込めた愛情は間違いなく報われる。
トンキー病に出くわしても諦める必要はない。
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【イベントレポート】ネットワークオーディオ実践セミナー・サウンドマック
【ネットワークオーディオで実現する快適な音楽鑑賞空間の構築】全国横断実践セミナー
9月5日・9月6日にサウンドマックでセミナーを行いました。
二日間を通じてたくさんの方々に参加していただきました。
セミナー終了後も残られた方には、本編に盛り込み切れない内容までお伝えできたと思います。
前回から引き続き、サーバー・プレーヤー・コントロールの三要素から成る「ネットワークオーディオの全体像」を大切にしつつ話をしました。
実際、参加された方から「いきなり機械の話をされても、役割から説明してもらわないとまずそれが何なのかわからない」という声もあり、この方向性で間違っていないことも確認できました。
ちなみに、三要素にWi-Fiルーターの存在を入れ込むとこんな図になります。
CDのリッピングでも、ダウンロードでも、手間暇かけて音源に愛情を込めるからこそ、結果として快適な音楽再生が手に入ります。
ファイルを再生するオーディオの形態は、従来のディスクを用いる形態を否定したり駆逐したりするものではありません。互いに良さがあり、オーディオとして両立し得るものです。
あくまで音楽の聴き方のひとつとして、快適な音楽再生を可能とするネットワークオーディオにチャレンジしてみてください。
セミナーに参加された皆様、サウンドマックの皆様、ありがとうございました。
Netflixを使ってみた
ネットワークオーディオなんてものを実践して、TIDALやQobuzに価値を見出している以上、Netflixの価値は痛いほどよくわかる。
しかも4KやらHDRやら、AVファンの心をくすぐる要素も目白押しときたもんだ。
というわけで使ってみた。
最初にイノセンスと言の葉の庭とスパルタカスを選んだら、おおむねそれっぽい作品がおすすめされてきた。
初期のおすすめ一覧の中に「Genius Party Beyond」が入っているあたり、「わかっている」という感じ。
ただ、この記事によればGenius Party Beyondは1080Pで配信されているはずなのだが、画質に関する表記はどこにもない。
実際の配信品質はともかく、どうやらブラウザにはそもそも画質の表示がないようだ。
どのみちPCのモニタで画質を云々言っても仕方がないので、PS4のNetflixを試す。
一応ネットワークの状況も。
さて、こちらには「HD」の表記がある。音声では「5.1」の表記もある。
1080PのGenius Party Beyondも、720Pのマインド・ゲームも一律で「HD」という表記のようだ。それにしても酷い低評価だ。悲しい。
別に隠すことじゃなし、堂々と「1080P」「720P」と書いてほしいもんだが。
実際に再生してみると、前評判のとおり、確かに「止まらずに」見られる。
最初こそぎょっとするほどの低解像度で始まるが、それほど経たずに高解像度に切り替わっていく。
ここからはクオリティ評。
再生環境はこの記事を参照。また、今回プレーヤーにはNetflix・BDともにPS4を使用した。
Genius Party Beyondでは、マッハバンドはそれなりに出ているものの気になるほどではなく、何よりDVDでは悲惨なほど溢れていた圧縮由来のノイズもさほど感じられなかった。ハイビジョンならではの精細感も十分あり、そもそもBD化されていない作品を高解像度で楽しめる喜びはとてつもなく大きい。
同じ1080P枠のアニメとして「イノセンス」も見てみた。比較対象はアブソリュート・エディションのBDである。
さすがにBDと比べると細部の情報量やノイズ感などで一歩劣るが、Netflixでも十分……というよりほとんどの人が満足するだろうレベルが実現されている。
HD・実写枠として見た「ノーカントリー」でも、相当BDに迫る画質である。
決して潤沢とは言えないビットレートでここまでの画が出せるとは。完全にディスク沼に浸かっていた私にとっていささか衝撃的な結果となった。
さて、問題はここからだ。
なぜ誰も音質に言及しない。
イノセンスのBDはドルビーTRUEHDとDTS-HD Master Audioの6.1ch収録。
ノーカントリーのBDはリニアPCMの5.1ch収録。
どちらもいわゆるロスレス音声で、映像作品として非常に優れた音質を有している。
Netflixの映像仕様は色々と情報が出ているが、音声仕様についてはさっぱりわからなかった。
だから実際に試してみたのだ。
で、結論。
BDに比べて音は落ちる。
イノセンスもノーカントリーも、決してNetflixで配信される音が悪いわけでも、楽しめないわけでもない。むしろ、大多数の人にとっては配信でサラウンドが楽しめるだけでも大きな魅力となるだろう。
しかし、BDより二段階ほど落ちる。Netflixの音声仕様の詳細については想像するしかないが、これが事実だ。
やはり、少なくとも現時点では、私のような物好きにとって、NetflixはBDを置き換えるものではない。
BD化されていない作品も高解像度で楽しめ、画質面では十分な品質を持っているにせよ、音質面で決定的な差がある以上、BDの価値が損なわれることはない。
4K、HDRが本格的に普及するとなっても、この状況は当面変わらないはず。
だから頑張ってよ、UHD BD。
今ならまだ、十分存在する価値がある。
B&W 800 D3 – new 800 diamond series
ついに発表となった。
画像は公式HPから。
動画まである。
Signature Diamondを連想させる姿。
ただならぬ変貌、とはまさにこのことか。
【ネットワークオーディオTips】あえて単体サーバーを導入するメリットとデメリット
この記事で言う「単体サーバー」とは、「オーディオのためだけに使うサーバー機器」を指す。
要するに、「オーディオ用NAS」とか、DELAとかLUMIN L1といった製品のこと。加えて、純粋にサーバーとしてのみ使うとすればPCも含まれる。
単体サーバーに対して、「今あるPCにサーバーソフトを入れることでサーバーとして運用する」というものがある。
処理能力で単体サーバーを上回り、様々なサーバーソフトを導入できるため、汎用性・柔軟性はPCの方が優れている。今あるPCを使う以上、機器に新たな投資は不要。
しかしプレーヤー同様、ネットワークオーディオの実践に必ずしもNAS――単体サーバーは必要ではないとわかっているからこそ、あえて単体サーバーを導入するメリットもわかる。もちろん、デメリットだってわかる。
すると、「せっかく導入するならどんなサーバーがいいのか」も見えてくる。
闇雲に何かをすすめているわけではないのだ。
そこんところをはっきりさせたい。
なお、単体サーバーを使おうが使うまいが、まずは音源がないと話にならない。
音源管理を徹底し、自分にとって理想のライブラリを構築することがサーバー云々に先んじる。
では、あえて単体サーバーを導入するメリットを書いていく。
メリットその1
音楽を聴く際にPCを起動させておく必要がない
単体サーバーを使う最大にして究極的には唯一のメリット。
ライブラリを完璧に仕上げて、サーバーに保存すれば、それでPCの役目はおしまい。
あとはPCの電源を落として、オーディオ部屋にこもって、音楽を聴くのみ。
メリットその2
置き場所の自由度が高い
ネットワークに繋がってさえいれば、サーバーはどこに置いてもいい。
オーディオラックに入れてもよし。ファンノイズや電源ノイズが気になるならオーディオ部屋の外に置いてもよし。
また、何らかの形でサーバーにデータを保存さえできれば、音源管理用のPCをオーディオ部屋に置く必要はない。
メリットその3
静音
あくまでPCに比べれば。
ファンレスならばなおよし。
メリットその4
低消費電力
あくまでPCに比べれば。
メリットその5
音源のバックアップがひとつ増える
バックアップは多いに越したことはない。
メリットその6
サーバーをオーディオ機器として扱える
単体サーバーが今あるPCよりも音がいい保証はどこにもない。
が、高音質を謳うサーバー製品があり、実際にサーバーで音は変わる。
音が変わる理由は色々と考えられる。ノイズの問題、ケーブルの問題、設計の問題、置き方の問題云々かんぬん。
いずれにせよ、高音質を望み、オーディオ機器として色々な工夫を試せるのも、単体サーバーなればこそ。今あるPCをそのまま使ったのでは、そこまでの自由度はない。
ここからデメリット。
避けては通れない。
デメリットその1
お金がかかる
導入するからには。
1万そこそこ~100万越えまで色々。
純然たるオーディオ用を謳う製品は流石に高額。
デメリットその2
導入・設定云々がめんどくさい
人によってはコレが最大の問題になる可能性も。
デメリットその3
PCに比べて処理能力・汎用性・柔軟性・発展性に欠ける
モノに依るが。
処理能力の低さは時として動作の緩慢さや不安定さを生む。
サーバーソフトが一つだけで、他のソフトを入れられない場合がある。
サーバーソフトのアップデートができず、機能面で取り残される可能性がある。
将来的により良いサーバーソフトが現れても、対応するとは限らない。
デメリットその3′
製品の内容をきちんと見定めたうえで買わないと痛い目を見る
そのNAS、中身Twonky Serverだけど、本当にそれでいいの?
そのNAS、Twonky Serverしか使えないけど、本当にそれでいいの?
見た目や宣伝文句の豪華さに踊らされず、まずは実際の使用感を左右するサーバーソフトについて確認しよう。
以上のメリットとデメリットを踏まえて、「せっかく導入するならこんなサーバー」を考えてみる。
・ファンレス/無音
・動作が安定している
・自分にとって現時点で使いやすいサーバーソフトが入っている
・設計がオーディオ的に豪華
・ついでに音がいい
オーディオ部屋からPCを放逐し、さらに音楽を聴く際にPCから解放されたいと思った時、少なくとも上三つが満たされるなら、単体サーバーを導入する価値はある。
そして導入したサーバーがモノとしてオーディオマインドに溢れ、しかも音がいいなら万々歳じゃないか。
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】
サーバーが本当の意味で「オーディオ機器」になる日
ネットワークオーディオの三要素――『サーバー』・『プレーヤー』・『コントロール』
システムの中で音源の保存と配信を担うものとして、そもそも音源の在り処として、サーバーの存在は極めて重要である。
しかし一昔前まで、サーバーには実質的にPCか、いかにもPCの周辺機器然としたNASを使うしかなかった。その限られた選択肢の中で、例えばQNAP TS-119が安定性・音質の点で高品質といった話がされていた。
一方で、ネットワークオーディオ用途における使い勝手や、サーバーをサーバーたらしめるサーバーソフトに関する言及はほとんどされなかった。
サーバーは長らく「必要ではあるが、なんだかよくわからない異質なもの」として扱われ続けた。つまるところ、ハードの面でもソフトの面でも、オーディオの領域に属するものとして真剣に扱われなかったのである。
そんな状況を良くも悪くも一変させたのがBUFFALOのDELAだった。
「PCの周辺機器」ではなく、真っ向から「オーディオ機器」として作られ、それでいてあくまでサーバー――周辺機器――「デジタル・ミュージック・ライブラリー」としての役割に徹しようというそのいじらしさ。
発表当初こそどうなることかと思ったが、実際に出てきた製品は音楽愛とオーディオ愛に溢れた素晴らしいものだった。高価なのも事実だが。
DELAの登場により、長らく水面下で醸成されていた「サーバーで音が変わる」という認識は一気に拡大・表面化した。ただそれと同時に、NAS(要は単体サーバー)を導入する際の意識が、「どのNASがいいのか」から、「どのNASが音がいいのか」に変わってしまった感がある。音質が俎上に載った途端、それ以外の要素が一切無視されてしまうのは、オーディオ業界ならではの困った傾向だ。アンプやスピーカーならまだしも、サーバーにまでその姿勢で臨むのはまずい。
もちろん、DELAは決して音がいいだけのサーバーではない。
むしろ、「中身はTwonky Serverですよ」と自ら表明したことで、多くのオーディオユーザーにサーバーソフトの存在を意識させたとも言える。NASを買おうにも「中身が何なのかわからない」という状況ばかりが続いていたなかで、これは大きな出来事だった。
DELAはトンキー病の克服も含め、ストレスなく運用できるように、よく考えられている。「高音質サーバー」である前に、まず「音源の保存と配信」というサーバー本来の機能を磨き上げた「良いサーバー」なのである。さらに言えば、USB出力を持つおかげで「良いプレーヤー」でもあるのだが、それはまた別の話。
まずサーバー本来の機能を充実させ、そのうえでオーディオ的に魅力があること。もっとも、音質、見た目、設計、どこまでやれば「オーディオ的に魅力がある」かは人それぞれだが。
私はこのふたつを併せ持つサーバーを「オーディオ機器」と呼びたい。
現にオーディオ機器と呼び得る単体サーバーは存在する。
しかし、その製品数はあまりにも少ない。
そんな状況で、「良いサーバー=DELA」という認識が固定化しつつあることに危機感を覚えている。
DELAは確かに素晴らしいサーバーだ。それは間違いない。
私が恐れているのは、「良いサーバーが欲しければDELAを買うしかない」というイメージの固定化だ。
N1ZはともかくN1Aであっても、「これからネットワークオーディオを始めよう」というユーザーがおいそれと手を出せる価格ではない。DELAが手に入らないことで、そもそもネットワークオーディオをやる気が失せる、なんてことも考えられる。
かつてプレーヤーで、「ネットワークオーディオプレーヤー=LINN DS」というイメージが支配的だった。もしかすると今でもそうかもしれない。そしてそれはイメージだけでなく、ユーザビリティにおいても実態を伴っていた。
LINN DSもまた、おいそれと手を出せる価格ではなかった。結果として本当の意味で選択肢は増えず、単体ネットワークオーディオプレーヤーという製品ジャンルは今でもパッとしないままだ。
私はサーバーには同じ轍を踏んでほしくない。
良い製品があっても、良い製品が「それしかない」としたら、製品ジャンルとしては盛り上がらないし、裾野も広がらない。「やってみよう」と思っても、価格的な問題から出鼻を挫かれてしまうことだってあるだろう。
だからこそ私は「ネットワークオーディオの実践に必ずしも単体サーバーは必要ではない」と言っているわけだが、高音質を求める真剣なオーディオファンにはその声もなかなか届くまい。
安価かつ高品質な製品が必要なのはもちろん、もっともっとオーディオ機器メーカーにもサーバーを製品化してほしいと思う。オーディオ機器メーカーが純然たるオーディオ機器としてサーバーを作る時、どんな製品になるのか非常に楽しみだ。製品ジャンルとしても俄然盛り上がるだろう。作る側としてもサーバーソフトの選択さえ間違わなければ、使い勝手は概ね保証できるはず。
その点、テクニクスがリッピングサーバーを商品化するというのは喜ばしいニュースだった。
<IFA>テクニクスキーマンに訊く:アナログプレーヤーなど新製品詳細と今後の展開 – Phile-web
昨年色々なお店を見せていただいたところ、手持ちのCDをライブラリとして整理して、快適に良い音で楽しみたいというニーズは非常に多く、ディーラーさんがリッピングサービスを行っている例もあることが分かりました。そこでオーディオメーカーとして、本当に良いリッピングサーバーをリリースすることは我々の使命ではないかと考えて企画致しました。
色々と気付くのが遅い気がしないでもないが、なんにせよ、オーディオメーカーがサーバーをきちんとオーディオ機器として認識するのはよいことだ。
プレーヤーとLANで繋がるか、USB出力を持ってそれ自体がプレーヤーになるかはあまり問題ではなく、大切な音源の在り処としてのサーバーの価値を認めることに意味がある。
出てくる製品自体は相当高くなりそうだが。
個々のクオリティでも、製品ジャンルとしても、サーバーが本当の意味で「オーディオ機器」になる日を待ち望んでいる。
安価な製品からハイエンド御用達まで、安心してオーディオ機器として使えるサーバーが登場することを願って止まない。
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】
ふと気付けば、いい時代になっていた
何がって、ネットワークオーディオを取り巻く状況が。
一年半前、「ただ座して待っているつもりはない」と書いた。
おかげさまで、その言葉を偽らずに済んでいる。
【音源管理の精髄】と【ネットワークオーディオTips】を書き続ける中で、「音楽再生におけるコントロールの方法論としてのネットワークオーディオ」という考え方を、より強固かつ磨かれたものにしてきたつもりである。
その結果として、少し違った視点から状況を見回せるようになった。
いい時代になった。
ネットワークオーディオの「製品ジャンルとしての盛り上がり」や、「業界全体の習熟」という点では、未だに……なのは確かだ。
しかし、ユーザーひとりひとりが本気で「ネットワークオーディオをやろう!」と思った時に取り得る選択肢は、一昔前……それこそ私がネットワークオーディオの門戸を叩いた5、6年前からすれば、質・量ともに大いに広がっている。
その意味で、いい時代になった。
学生時代、私はLINNのHPを眺めながら、「ネットワークオーディオいいなぁ……DS欲しいなぁ……MAJIK DSでも45万か……無理だなあ……」と悶々としていた。
当時の私は「ネットワークオーディオ=LINN DS」という認識しかなかった。しかし今になって見返してみても、本当の意味でネットワークオーディオを実践するためには、やっぱりLINN DSを導入するしか選択肢がなかった。
時を経てMAJIK DS-Iを買った。
その時にはiPhoneがあった。iPadがあった。SongBook DSがあった。ChorusDSがあった。ChorusDS HDがあった。QNAP TS-119があった。既に環境は整っていた。
ただ、それしかなかった。まだまだandroidでは用を為せなかった。ネットワークオーディオの真価を味わえる環境は非常に限られていた。
しかし、状況は変わった。
androidにはBubbleUPnPがある。
JPLAYStreamerだって使える。下手な単体プレーヤーが立つ瀬を失う。
相変わらず単体プレーヤーは製品ジャンルとして盛り上がっていないことも確かだが、単体プレーヤーを使わず、PCの再生ソフトでネットワークオーディオを実践することもできる。あらゆるUSB DACとの組み合わせで快適な音楽再生が可能になる。PCオーディオはもっと自由になれる。
もはや単体プレーヤーに頼る必要はなくなった。
一方で究極を目指そうと思えば、単体プレーヤーも単体サーバーも選択肢が増えた。
ふと気付けば、価格帯的に上から下まで、ネットワークオーディオの可能性は大きく広がった。大切なのは選択肢がたくさんあることだ。
そして、ネットワークオーディオの本質、実践するための根本的なノウハウは、今も昔も変わっていない。
このHPがネットワークオーディオの福音書となれば幸いである。
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】